中敷きがズレてくような日々

煩悩、戯言の半径30cm

電車遅延の日


朝目覚めたら職場の後輩からLINE。
「電車止まってますよね?」
彼とは同じ路線のため連絡をくれたのだろう。

 

調べたらなんか電車に引っかかってしまったらしい。
うわー、大変だろなぁ、普通に緊急工事だもんなぁ。もう駅に行ってる人も大変だな、なんて思ったが、人間は都合がいい。

 

運転再開13時か、、、あと3時間もあるのか!!!

 

一瞬にしてワクワクしてしまった。

 

3時間の急な空き、やりようがありすぎて心が弾んでしまった。
まだ身体すら起こしてなかった。それすらも嬉しい。後輩に心で感謝した。

 

職場に電話もいつかけようか悩んだ。
きっと彼らは10時になれば来ているが、先に後輩に連絡を入れてもらい感触を伺った。

 

「13時以降だったら、最悪休みでいい」と。

 

マジか、休みの可能性すらあるのか、最高だ。

電話をかけた。

 

「彼からも連絡あって、止まってるんでしょ?回り道で来れるんだったら頑張ってみてほしいんだけど」

 

もう休むつもりでしかなかったので、ドギマギした。

 

こういうとき、行きたくない気持ちが先行してしまうと心のうちがどうしても漏れてしまうものである。

 

「いやぁ、分からないんですよねえ」

 

もちろん
「え、自分で調べれるでしょ?」と軽く怒られてしまった。

 

ここがゆとり世代と言われる所以なのだろうと思った。

 

急いで「いや、調べますけど」を入れ込んだが聞こえていただろうか。

 

連絡とってた歳下の子に
「巡回をすすめられたが、無理じゃないかなぁ」と送っていた。
すぐさま巡回ではなく迂回だと指摘された。

 

しかしそこで頭はフリーズ。迂回できる場所なんてないと思いこんで、
タクシーなんてバカすぎだよな…徒歩も終電逃して歩いたとき、朝方までかかってたもんなぁ。チャリも当然な…なんて思っていたが、
吉祥寺行きのバスがあることを思い出してしまった。

 

吉祥寺が中央線につながっている、そこから新宿に出てしまえば、行けてしまう!!

 

まるで謎解きを説いたかのような気持ちになってニヤリとしてしまったが、途端落ち込んだ。

 

昔の俺ならここで、何かと理由をつけて休んでいただろう。
現に後輩にも休め休めなんて勧めていたが、
あいつも真面目で俺が言う前から迂回ルートを探していた。
逆の立場なら絶対休んでいた自信があったが、今はもう立場が違う。

 

社員を今から目指そうといろいろやらせてもらっているので、きっとこういうのもダメなのだろうと思ってしまった。

 

少し歳を重ねていることを感じて、悲しくなってしまった。
歳を重ねることは悪くないが、いろいろと許されないところに自然と引き上げられていくのを感じると、今はまだ悲しい。

 

ワクワクした気持ちは少し彼方へ飛んでいった。

 

常識ってみんなどこで手に入れてしまうんだろう。
学生の時代からそういうのは逐一感じていたから、きっと人より気づくのが何年か遅い。

 


駅に着くと、電車を眺める人、テレビクルーやマイクを持ってる人もいた。
テレビクルーにちょっとワクワクしてしまったが、片っ端でもあんたADやってたんちゃうか?と思い、AD時代も結局ファンでしかなかったんだな、と思い知らされたりもした。

 

吉祥寺行きのバスの列はめちゃくちゃ並んでいて、そんなことも想定してなかった。
あまり並んでいない三鷹行きのバスを発見して、次発ですんなり乗れた。
当初の予定よりも30分は遅くなり、12:30に駅着予定に変更。

 

バスの運転手さんもいろんな質問を投げかけられていて、イライラしていた。
駅で人を満杯に乗せてしまうため、途中の停留所の人はまるで乗ることも出来ず、バスを見て諦めて歩き出す人を何人も見た。
おじいちゃんおばあちゃんは動けず、じっと座っていた。

 

遅延が起きると色んなところに影響が波及していくのを知れた。

 

今日また少し大人になってしまったと思うが、もう27の代。

 

昨日、七夕に結婚した同級生をSNSで2人も見た。
巡回と迂回を間違えていることを指摘されてる場合でもない歳だと思う。

 

後輩は自分よりも1時間ほど早く到着していた。
着いたら
「みんなもっと早く来れてたから、1番混んでる時間に当たっちゃったんじゃない?」と労ってくれた。

 

呑気にバターロール2個も食べる時間があったことは、もちろん飲みこんだ。