中敷きがズレてくような日々

煩悩、戯言の半径30cm

フジロック体験記〜7月28日DAY1〜

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夜中はひどかった。
1時間に1回は起きていた。
寝袋も毛布も何も持ってこなかったので凍えて仕方なかった。
半袖とかしゃかしゃの長袖1枚だけでは寒すぎて、口がガタガタ言っていた。

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とにかく風呂に直行。キャンプサイト限定のお風呂が1000円で入れる。いち早く入りたいので小走りした。

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身体を洗う。昨日の汗が一気に落ちる音がした。
こういうときは露天風呂に行きたくなるものだが速攻で内風呂へ。
肩まで入れて力を抜いて見ると浮いてしまって、基礎の筋力が足りないからか、水に流されそうになる。渋々乳首までの入水となる。

その後は露天風呂へ。朝の空を見ながらはいい。毎日凍えて寝てからのこの流れでもいいかもしれないと思った。実際今からの対策の打ち方が俺にはまだ見えていない。

安心したのか服を着る前に音を鳴らして屁をこいてしまった。
人々はDNAレベルで屁の音には反応できる。
当然の訝しげ顔が横目で感じたので、やらかした顔のパフォーマンスを伝わるように大きくした。今回は匂いもついてきたので周りの人が一旦避難した。恥ずかしくてそこらじゅうの空気を積極的に吸い込んだ。申し訳ない。
辛くて200円でコーヒーを買う贅沢をしてしまった。

昨日買っておいたてりたまチキンのサンドイッチを食す。
4時間も寝れていないのでしんどい。グッズを買いに行かねばならない。7:10にテントを出た。

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ストロークスのTシャツ目当てだが、ヘッドライナーのXLのTシャツが残ってるのは考えにくい。ただせっかく起きれているので並ぶ。それよりもパーカーが欲しい。昨日の夜が寒すぎたので暖が取れるグッズが欲しい。

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これの結果で今晩以降の俺が決まる。命のかけた戦いである。

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ここから並び続けるのだが一向に進まない。どうしてもスマホばかり触ってしまって充電も食うし、暑くなるいっぽうの日差しでスマホ自体も熱くなってくる。
途中から川島明のねごとのマユリカ回と峯田和伸サンボマスター山口のオールナイトニッポンを聴くことにする。
ラジオってこういうときにも助けになるから嬉しい。
また1人でニヤニヤしてしまった。

順番が近づいていくに連れて販売しているもののラインナップが見えてくる。気になるのは値段だ。パーカーが近くになる度にしゃがんで値段を見ようとする。6000円に見えて、よっしゃ出せる!と思った。個人的にパーカーの仕様が前開きのパーカーならば冬に使い用があるのだが、上からのタイプだとあまり着ない。何枚か持っていてすでに少し持て余している。今回は後者のタイプ。あまり値段をかけたくない。

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しかし並び出して2時間も経とうとしてるとき、もう一度見なおすとそこにあるのは9000円の文字。さすがに高すぎる。
2時間も並んだ後に気がつく地獄。
ただ夜の寒さを想像するのも地獄。
はえらいもので値段ひとつでも自分の都合のいいように解釈するよなと思った。

3時間並んでやっと自分の番に。
結局自分が選んだのはTシャツだった。
あまりにも暑すぎて夜の寒さがどうしても想像出来なかった。
今夜こそは大丈夫だろう。こんな暑いのだから、そんなに気温が落ちるとは思えない。
僕は賭けに出た。サバイバル。

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テントに買ったTシャツを置きに行く。
この時間のテントは日射がひどく、人が中にいれるようなもんじゃない。風邪も抜けなくて、体感5度は違う。
すぐにステージに向かうことにした。

今日はキャンプサイトからレッドマーキーへ通じる道が開いている。この道はまだ未補正で急な山やくぼみが多くてとても歩きにくいが、開通してくれているだけでかなりの時短になるのでとても助かる。

急勾配な山を降りてる途中、ドラゴンドラこちらという看板を見つけた。

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そういえばゴンドラがあるとは聞いたことがあった。特別に観たい!というものがない時間は3日間通して今くらいしかなかったので今しかないと思い乗ってみることにした。
前回来た時は元を取ろうみたいな気持ちでアーティストライブを見ることに必死こいていてあらゆるものが見えていなかった。
フジロックという場所の過ごし方はそういうことではない。というか人生自体が元を取ろうみたいな気持ちでいたら損をする。これが20代に入ってわかってきたこと。
ゴンドラに乗ることを即決断できたことに自分の大きな成長を感じた。

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そして当のゴンドラなのだが、乗ってからが怖くてかなりビビり散らかしていた。
そもそも高所がそんなに得意でないことは自覚があるのだが、下を覗くとあまりにも山すぎて、ここに落ちたらどこに連れてかれてしまうのだろうと足がすくむ。

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何年ものかも分からない1本のロープだけゴンドラが動いているのも怖すぎる。ミシミシ言うのをじっと見てしまう。これは往復2000円くらい払わないと怖い。最初は高いとか思ったけど施工費絶対必要。
景色はとてもいい。見渡す限りの複数の山が自分の下にあるのはなかなか見られない光景。ゴンドラの上からステージの音楽を聴くなんて楽しみ方もあるなんて!と感動もしていた。
しかしそのステージが見えなくなっても永遠に終わらないゴンドラ。マジでどこまで連れてかれるのだろう。上りが急になってきて、もうそろそろ終着点かと思った。次の瞬間見えた景色は急な下り、さらにその先にはまた急な上りが繰り広げられている。

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絶望感が襲ってきた。帰りは歩いて戻ろうくらいに考えていたらそんなレベルの距離感ではない。なんなら山を5つくらい超えている。

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耐えられなくなってスマホ忌野清志郎の田舎へ行こうを最大で流した。
フジロックのテーマソング、さっきも遠くで流れていたのが聞こえていたけどがそれもあっという間に聞こえなくなっていた。
ここはフジロックなんだという気持ちを強めたい。あと清志郎がこのロケーションや気持ち動きすら楽しめよって隣で歌ってくれていたらどうにかなる気がした。怖いことには変わりなかったけど幾分か救われた。たしかに少しワクワクを取り戻せた。
ありがとう清志郎。亡くなった時に知ったから俺は清志郎がこの世にいた頃の景色を知らないんだけれども、多分この苗場の山々には清志郎の魂が生きてくれてるんだろう。

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結局音楽に助けられながら辿り着いた先はこれぞヒッピー文化はこういう場所で生まれたんだろうなと思えるような場所。
広々とした芝生にみんなゆったりして、ステージから流れてる曲で踊ってる。ステージがあるとはひとつも思っていなかった。
DJが曲を流していたのだが、あーいうの特有の技術なのだろうか、音を下げてエフェクトかけるのとかやっていたが、回線不良と勘違いするからマジでやめてくれと思った。こんなところで回線不良になるのは怖すぎる。
あと普通にアジカンのサビくらいしっかり聞かせてくれ、余計なことすんなと。正確には女の子の声のカバーの転がる石〜だったけど。

そんなことは思いながらひとまずビールは買って寝転んで芝生とビールの接写。

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もう写真おじさんだ。

何回か目の前に現れるからまさかとは思ったがこの小さな敷地でランニングしているおじさんもいた。

少しずつ人が増えていて、ご飯屋さんで食べるのもやめて、ほどほどにして帰る。

復路はしっかり気が重かったが大雨とか降られる可能性が少ない間に戻りたいのですぐ乗り込んだ。
ほぼ画面も見ないで申し訳程度に写真を撮り、ただただしっかり目をつむっていた。

下の場所に戻った時にはゴンドラもかなりの列をなしていて、結果自分の行くタイミングは超大正解だったなと思った。乗った後悔もあるし、頂上では「もう来ることないだろうけど…」とか呟きながら写真撮ってたけど、決断した自分を褒めてあげたい。

戻ってすぐはレッドマーキーなのでアレクサンダー23のステージを少し。

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マークはしてなかったがガッチリUKロックで結構嬉しかった。今年はこういうバンドが少なくて「ロックが足りない!!」とか来る前は騒いでいたので、いると嬉しい。

昨日の友達と会う。
前夜祭で知らん男の人に飲まされていた影響でだいぶグロッキー状態だった。奢ってもらってんの悔しいなぁと思っていたが、逆の立場として考えて、俺はそんな酒飲むことなんて不可能だし、そのノリについていけないだろうし、翌日こんなしんどい思いするなら奢られなくていいやと思った。素直にこいつ気持ちが強いなと思った。奢られるのはそのノリをやれる人の特権だ。

今日からは卑しい気持ちはやめてしっかり買おうと思い、まぜそばを買った。

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前回は大学生で本気でお金がないので飯などは我慢しすぎて、たくさん魅力的なお店があるのにまぜそばを2回食べる消極的なことをやってしまったことを後悔していた。怖気付いていたらまた同じことになると思うので気持ちを入れ替え。

とりあえずせっかくなので全身の写真は撮ってもらった。

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友達はまた別のお友達と来ていたのでその人に引き渡してからグリーンステージへ。
この2人とはこの後もタイミングが合えばちらちら会うこととなる。知っている人がいるというのはほとんど会話をしなかった前回との大きな違いでだいぶ助けになった。これはこれで8年間での交友の広がりと少しの社交性の向上を意味していた。なんならこれが1番大きかったと思う。

 

グリーンステージで行われているのはROUTE 17 ロックンロールオーケストラ!
毎年恒例のフジロックのアンセムバンド。
ルースターズのドラム池畑とギターの花田を中心として結成されている。個人的に好きなところだとdipヤマジカズヒデがギターで参加してる。前回はdipを聴き出していた頃だったのでヤマジばっかり見ていた。そして吉川晃司のシンバルキックが印象的だった。

最近ルースターズをしっかり聴き出しているので今回はその面々をよく見ていた。年はいってるはずだがプレーも見た目もまだ若々しくて大江さんさえ元気にやれるのであればルースターズ観たいけどなと思わされた。

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グリーンに着くと流れていたのはトータス松本が歌うローリングストーンズのタッチミー、雰囲気最高である。
その後に出てくるのは土屋アンナ、ブロンディのコールミーやジョーンジェッツのI LOVE ROCKNROOLをぶちかましていく。格好も70〜80年初頭のカッコいい女性ロックンローラーに寄せてくる。結構楽しかった。そして最後に出るのは奥田民生。民生によるツェッペリン。メタル、速弾き隆盛世代が楽しくハードロックをかましていた。

ここでフジロックのために意を決して買ってきていたマンチェスターシティのショルダーバックがすでに割れていたことに気がつく。
グッズを並んでいる時に1回真下に落とした覚えが強くあるのでその時なのは明白。買って3日でぶっ壊すのは悲しかった。

その後はまたぷらぷら。RIZEのkenkenが写真やサインの対応をしていたりしたのを目撃した。

その後はIDLESを友だちと後ろの方で座りながら嗜む。

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ドラムがなでしこジャパンのユニフォームを着ていて笑った。ベースかギターの人も女性の格好をしていたりしたので何かしら別のメッセージはあるのかもしれない。ただただ女子サッカーのワールドカップが今やっているからという気まぐれかもしれない。
普段あんまり聴かないがライブだと観れる。ポストパンクから影響受けてる系統は自分の中ではそういう括りに入る。

さぁ個人的にはここからが本番。矢沢永吉の登場である。

そりゃ普通に観に行こうと思わなきゃ出会うわけのない永ちゃん。生で観れるなんて価値が高すぎる。

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ライブ10分前から「永ちゃん永ちゃん!」ゴールがどこかかしらから聞こえる。
たしかにどこかでそういう文化があるというのは聞いたことがあった。たしか岡村隆史1人時代のオールナイトニッポンで聞いた気がしないでもない。噂の場面に立ち会えてニヤニヤする。実際親衛隊みたいな人たちがいて今か今かとコールを繰り出す。濃いファンがみんな前に集結するというわけでもなく、年配の方も多いので後ろの方で椅子を置いて楽しむ方々もいる。
こんな山奥まで永ちゃんが出ると聞いて聞きつけるファンのおじちゃんおばちゃんたちに愛しさを感じる。自分が調べた限りだと今年初ライブぽかった。そりゃあ来たいよな。
そうやって各所で待ち侘びる声が大きくなる中、レジェンド登場。

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期待を軽々上回ってきた。すごすぎる。大好きなクロマニヨンズ以外で初めて完全無欠のロックンロールを感じた。無駄がひとつもないことが衝撃的だった。学生の頃は少し馬鹿にしてたくらいで、ここ数年はまったくそんなことなく普通に好きくらいだったが、ライブを見ることで尊敬に変わった。
1時間の持ち時間を8曲35分で終了したのだがそれが魅せるのに適性の時間ならそれでいいだろ?と言わんばかりの潔さ。これがロックンロールだ。
実際セトリもこういうライト層が多く見るであろうところに合わせた有名曲の連打。フェスではこうあるべきだし、たまにフェスだからって激尖りセトリやる人いるけど見習ってほしいと思った。
非常に満足度が高くて、多分1番持ち歌で有名なファンキーモンキーベイビーをやっていないが、やってくれなかったなぁとは思わないし、むしろ蛇足でこれ以上はいらなかった。レジェンドの貫禄がすぎる。


そして余裕を持ってレッドマーキーでのeastern youthに向かう。
昔から良いぞ良いぞとは知っていたが最近まともに聴き出した。職場で誰かがかけていた「感受性応答セヨ」。(話の寄り道をするとこのようにタイトルにカタカナが多用されるのが厨二病感があって良いとは知っていても近づけずにいた)
このアルバムの夜明けの歌に食らってしまいそのまま帰り道も聴き続けた。

自分にとっての初めてのイースタンユース
フジロックのライブはそんな夜明けの歌からスタートした。それだけでももう最高である。

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夕方になってきて日差しも落ちてきて、絶妙なロケーションになってきたこの時間に響くギターのイントロ、そこにゆるやかに乗るベース、そして開幕を告げるドラムのビート。気持ち良すぎる。そしてロックの孤独と寂しさや後ろめたさと希望を映し出す王道的な歌詞。
全てが堪らなく合致して、目から涙が溢れ出た。泣けて仕方なかった。あまりにも素直に出てきた涙だったのでしばらく拭かなかった。その方がいいと思った。

その後もここ最近聴いていた代表曲たちが乱打されていく。うる覚えの歌詞を引っさげて全力で歌っていた。

やはり3ピースバンドは強い。無条件でカッコいい。
フロントマンの吉野が自由に感情をぶっ放すのは分かるとして、ドラムの田森も割とマイペースにリズムを刻むのが印象的で、ベースの村岡が調整している感覚。このバランス感覚もすごく良くて感動しっぱなしだった。

最後は夏の日の午後で〆る。フジロックの夕暮れにうってつけの最高のアクトだった。

別日に会場でご飯を食べていたら40代くらいの女性の方々の3人組の1人が「夫に行くならeastern youthは観といた方がいいって勧められて、後半半分くらい見たけど、そんなって感じで」という会話が聞こえた。
夫はめちゃ勧めるけど嫁にハマらない。めちゃくちゃeastern youthだなと思った。

矢沢永吉からeastern youth、方向性はまるで違えどこのように度数の強い味のあるロック、ロックンロールは日本に生き続けなきゃならんなと思った。それは自分の願いでもある。

この2組を立て続けに観ただけでだいぶ放心状態で最高な気分だったが、これからThe Strokesが観られる。信じられない気分だった。高揚感がドサっと来たこの時間が1番幸せだったかもしれない。

とりあえず心を落ち着けたかったので一旦テントに戻って気持ちを作る。カバンも前方に行けるようにより少ない荷物で行けるものに変更。Tシャツも汗でびしゃびしゃだったので今朝買ったストロークスのTシャツに着替えた。

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気持ちを作り直して、いざグリーンへ。
前方で待機するため前のアーティストのライブ途中から前方へ。好きじゃなそうなイメージで待つの辛いなと思っていたが、思ったよりも聴けた。これもフェスならではの感覚である。

 

ストロークスが日本でライブをするのは12年ぶり。
さすがに来なさすぎである。ただストロークスはそもそもライブをやってる時期やってない時期がまちまちだったのでこのくらいはあいたのだろう。にしてもだな。

俺はリバティーンズ、グリーンデイ、ストロークスのどれかが来たらそれは絶対行くとこの7年くらいは周りに宣言していた。
今回来た理由はほぼThe Strokes、彼らが俺をここに連れてきた。
昨年はリバティーンズサマソニでフラれた。ほぼ当日でのキャンセル、そして地元で撮影された謎の映像ライブを見せられて、ファンサしている時間を永遠に流されて意味不明だった。それはまだしも本当にもうピートドハーティの入国ビザが今になってもおりないんだなと分かってしまい絶望的な気持ちであった。
グリーンデイも久々に来日が発表されてチケットも取ったのにコロナで延期、そのまま代替えもなく中止になってしまった。
ストロークスだってフジロックにラインナップされていたがコロナで1回流れていてその後もしばらく流れたままでだった。
結局1つも観れてないままでここまで来てしまった。
しかしフジロックはリベンジの舞台を用意してくれた。ありがとうフジロック。ついに観れるんだぞ。

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会場に戻り、後ろにいる男の子2人組の1人が東京カレンダーに出た話とかに聞き耳立てながら、ひたすら待ち続けて1時間半。

ついにその時が来た。

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ライブはThe Modern Ageからスタート、レゲエやSKAのリズムに影響を受けたような独特なギターリフがグリーンステージに響き渡る。前方はモッシュ状態で転けそうなところを耐えながら。ジュリアンカサブランカスやアルバートを近くで見れてテンション上がったが、ストロークスってこうやってモッシュの中でみるものじゃないよな?と思った。
クールに静かに高揚するリフを堪能するバンドだよな、なんなら風とか抜けてくれる方が良くて、熱気の中で聞くものではない。
そう思って次第に少しずつ下がって行った。

これまでライブはなんでもかんでも前で観ていた節はあったが、そうじゃなくてもいいかもと1日通して思えた。

少し下がることでストロークスのもう1つの特徴に気がついた。バンドとしての佇まいがとても綺麗なこと。

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暗い照明の中で横並びの姿で並んでいる5人がとてもカッコいい。様式美に近い。

そこからはバンドとしての姿が美しいなと思いながら、十分なスペースのある場所で数々の印象的なギターのリフと共にエアギターをして乗りまくっていた。
夜道で聴きながら乗りまくってるあの時と同じように聴けてすごく心地よかった。
個人的にはYou Only Live Onceでぶち上がり。Under Controlが苗場の空気に合っていてすごくよかったのと、そこからのJuiceboxがまためちゃくちゃカッコよかった。
アンコールでやっていた近年作のOde to the Metsが存外よかった。あれ大谷に捧げるとか言うてたのな。英語ひとつも分からんからMCは100割聞き取れてない。
この曲の途中でジュリアンが天を仰いで一瞬だけサングラスを外したのもよかったな。顔ファンもむちゃおんのにちょっと太って自信がないからずっとしとんかと思うてたけどまだ全然カッコええやん。

ストロークスはギターリフがマジで印象的なものが多すぎて、それで曲を覚えている節があるのでタイトルとまったくリンクしない。
だからFear of SleepやRed Lightをやったのが貴重だったのも反応できなかった。知ってる知ってる!って思っただけで。

さすがに歌詞で連呼しているものは分かるが、そのくらいギターのリフの印象が強いものが多い。それに気がついてアルバートがマジですごい人であることを今回思い知った。

アルバートの印象的なリフにジュリアンのある種ブルースのような気だるいボーカルが乗り、それを他のメンバーが最小限の音でグルーヴを作り上げてロックンロールとして成り立たせている。めっちゃくちゃクールなバンドでカリスマ性が高い。それがStrokes、そりゃあ大好きだわ。

最後はLast Niteで終わり。

最後はエレベーターのようなもので帰されそうな後ろの映像も好きだった。

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ストロークスを目撃出来た人生でよかった。また近いうちに来てくれ。新作あんだけよかったんだからまだまだ期待していいだろう。

オアシスに向かう間の人混みで、自然とジュリアンの気だるい感じをマネしながら歩いていた。
俺もジュリアンカサブランカスになりたかった。

余談だが自分が位置を下げてる最中にCzecho No Republicのタカハシマイを見つけた。かなり前にHostess Club WeekenderでSt.Vincentを前方で観た時に自分の目の前にいてビックリしたあの時以来2度目。終わった後、武井優心も現れて夫婦2人とも来てたんかとなった。
高校のときマジでむっちゃ聴いたからな…DANCEって曲大好きやねん。初めての野音、当時の彼女と2人で観に行ったわ。ストロークス好きって言うてた気がするわと思いながら退場の人混みで声はかけることなく見送った。

この日はほぼご飯を食べていなかったことに気がついた。ロックがあれば飯もいらないわという気持ちも湧いてきたが、倒れてもアレなのでもち豚巻きだけ食べた。直前までもち豚丼にしようとしてたのに。200円をケチってしまった。

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かなり美味しかったので丼にすればよかった。

最後にクリスタルパレスに少し立ち寄ってジャズファンクなバンドを少し見る。こういうバンドが似合うステージで本当によく出来たところだと思う。

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8年前はここで観た夜中のウィルコジョンソンがとんでもなく最高だったよなと懐かしんでいた。ウィルコジョンソンをパブ感ある小さなステージで観れたのが本当に貴重だったと思う。なんせパブロックの第一人者だ。当時はパブロックのパブがそのまんまの意味とは思いもしなかったけど。
この日、袖には鮎川誠がいた。2人とも今年亡くなっちゃったな、8年も経てば今元気に見える人も普通に死ぬ。そんなことを思ってしまった。

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