ビートルズが日本の笑福亭仁鶴ではない場所
中古CDレコード屋さんで働いていると、店頭で音楽をかけれるのは少し楽しみの一つだ。
音楽が好きな人が集まってる環境で音楽を介して会話するのが1番健康的で楽しくて、ほっこりする。
今日はmonobrightをかけてみた。
自分とほぼ同世代の人がめちゃくちゃ反応してくれた。
前から店頭にあるのは分かっていたが、かけるタイミングを探っていたので反応が良くてよかった。
その次はその人がクラフトワークを持ってきた。
電子音でインストの曲が多く、クラフトワークにしっかり耳を傾けてきていない自分には少しでも理解出来るのかなと思いながら聴いてみる。
40代の社員さんが同じくレジに入っていたのだが、おそらく隣にいた別の子に「なんか変えてきて」と言ったのだろう。一周もせずにCDが変わった。
この人は店内の空気とかを敏感に反応するのでこういう音楽は鶴の一声的に変えられる時がたまにある。
その子が持ってきたのは日本のサイケデリックバンドAcid mother templeとサックス奏者の梅津和時の共作だ。
鳴り響くは激しいギターとサックスが織り出すフリージャズのような色合いのサウンド。
音が暴力的で非常カッコいい!と思った。しかし気づく。
絶対社員さんが求めていたのはこれじゃない。
さすがに2回連続で言ってしまうのは、それを好きで選んでいるその子の尊厳みたいなものを傷つけてしまう可能性があるので言えないだろうな、今飲み込んどんやろうなと思っていた。
程なくしてすぐお客さんが反応して、お持ち帰りしてくれた。
替えのCDをかけなきゃいけない。
僕が「そこらへんにあるビートルズでもかけといて」とかけてもらった。
ビートルズが外れるわけがない。みんな好きやろ。
Love me doのイントロが流れた瞬間、なぜかみんなが笑った。
クラフトワークからのフリージャズからのビートルズの一気に平和に戻る感じ。
そして右から、左から同時にスタッフがやってきてビートルズに反応しにきた。
ビートルズをかけるんかい!!!を感じて、
「ええやろ!ビートルズ!」と叫んでいた。
ビートルズをかけりゃなんでもまぁるくおさまるのではないのか。
ビートルズは日本の仁鶴ではないのか。
後にかかったイエローサブマリンのリズムが生理的に受け付けない。と言われた。
「今どんどんHPが削れてきています」
全然平和になっていなかった。
ちなみにうちの社内電話の保留音イエローサブマリンだ。可哀想に。
ビートルズをかけるだけでこんな反応になる職場なんて他にないんじゃないか。
音楽にアイデンティティを持っている人の集まりはなんだかすごい。