中敷きがズレてくような日々

煩悩、戯言の半径30cm

挟まれてペラペラな僕の年末


年末は酷いもんだった。

人とのコミュニケーションは常に1対1が好きだ。その方が目の前の人から聞き出したい話を聞きやすいからだ。ただ自分が緊張してなんも浮かばないときもあるけど。

職場でも自分が緊張せずにやれる人には1対1でコミュニケーションを取っていくのが自分の基本だ。それが故に人との間に入ってしまうことが多い。

それをどうにか上手くこなしていたが、ついに無理が来たのが昨年末。

職場が故のトラブルとなんてことじゃないトラブルが同時に襲いかかってきて気疲れが酷かった。

2人とも自分が最後の砦くらいで庇っていたが故にその2人から別件ではあるものの責められたり距離を取られたりしてしまって、なかなか辛くなってしまった。

自分が責められて然るべき部分とそうじゃない部分のあった人との恋愛に首を突っ込んでしまった話。(職場恋愛ではない。)
職場として他の人と喧嘩するなと言った翌日に揉め事を起こしてしまう話。

特に2個目の方は特にしんどく、いまだに尾を引いている部分がある。

人生において人に怒った経験がほとんどなく、注意をするという行為もかなりの苦手ながら年齢も上の立場になってきた自覚から昨年ほんと少しだけやるようにしていた。

しかし注意の仕方に優しさを残してしまう。多分自分を守るための優しさでもある。

仕事は出来ないのは仕方ないが、人と喧嘩をするのは違う。しかもそれを起こしてしまう相手が複数人いる。中には目上の人もいる。
社員会議に参加してあまりに人とトラブルを起こすようだとクビもあり得るという話だった。クビにすることは可能だと。

それを踏まえた上でとりあえず人と喧嘩をするなと注意をしたが翌日にまた目上の人と言い合いをしてる。

言い合いが行われた当日は自分はいない日だった。
その話は当日LINEで別の人から聞き、翌日出勤したときに目上の人にも直接こんなことがあってと話をされた。彼への批判をいろんなところで聞くたびに彼と仲良くしてる方である自分は責任を背負い込んだ。

その日にまた彼と話をした。
目上の人が間違えている部分も少なからずあるのだろう。納得いかないところもあるのだろう。舐めているのは知っている。でもとりあえず簡単な言葉だけでいいから謝ってくれ。今は分からんでも形から入るものもある。

まっすぐな彼は「それはないですって!いやぁそれはないですよ!」と言う。
そう、過去のものを読んでくれている方はお気づきだろうが、以前もここで書いている彼の話だ。

俺だって彼の真っすぐさに感心したり、笑っていたりしたいのだが今はもうその段階にいないのだ。

「トラブル起こすなって言われた翌日に起こしちゃって」と笑いながら言い、反省の色や悪気などない状況だった。
そこから説得はおそらく20分ほどに及んでいたと思うが結局彼は謝ることはなかった。

その瞬間の正しい間違いだけで判断しているのだろうか。そもそも誰もそんな喧嘩など起こしてない環境で1人ならまだしも何人とも喧嘩している状況では絶対彼が100%正しいことなんてないはずなのだ。間違ってる部分が大いにある。確実に。

彼はみんなが頭を悩ましてることを分かってくれない。そんなことまでこっちで言うのはもう違うだろの域まで達しているし、自分で気がつかない限りはこのままだ。

自分もテレビのADの仕事のあとにCDショップのバイトに来たとき、最初が故の仕事内容の楽さと定時でスパッと帰れることに対して興奮すら覚えていた。そうして仕事を舐めていた時期があり、それが周りにバレていて彼と同じように店長直々に複数のスタッフから非難が相次いでいると言われたことがあった。そのときは彼と同じでピンとこなかったのだが、その面談の翌日に普段怒らない人からバチギレされて目が覚め出した。

きっと種類は違うのだが同じ境遇を辿ってはいる。

なんで俺はこうも怒ることが出来ないのかなと思う。怒ると慣れてない人みたいな感じでめちゃくちゃ詰めてしまうと思う。それはきっと違う。

注意をした翌日から彼は自分に対して素っ気なくなった。
問題は自分にあるのに、それを指摘して現実を突きつけた人が嫌われる現象だと思った。
そんなのお前が弱いだけじゃないか、自分の治さなきゃいけない部分から逃げてるだけじゃないか。

普段ならこういうときに自分から話しかけに行って「どうした?変だぞ?」とか言って話を振ってしまうのだが、
これは俺から話しかけるのは彼のためにもならないだろうと思って堪えることにした。

すると自分がやりたいようにのびのびできなくなった。

俺が他の人にどんなに明るく振る舞っていようともその姿を遠くから見た彼はまた自分に対してよくない感情を抱くのだろうと思うようになってしまった。元気はないが上げようと思えば上げれるのに気にしてしまって相対的に元気がなくなって行く。

明日になったら大丈夫だろう。と思って出勤するも同じループにハマってしまう。

それに気づかれて社員の人に「どうした?最近、元気ないな」と言われる。
ただこの理由を言ってしまうと彼の立場はさらに危うくはなるだろうと思い、話を流した。

ただ一向に治る気配がない。家に帰ったら年末の大型お笑い特番を連日観て腹抱えて笑うのだが、朝になるともうなんのその。出勤すればまた元通り。

改めて「やっぱり最近元気ないよ」と言われて、我慢出来ずに白状した。

そして店舗の奥まったところでその人と面談が開催されたのが大晦日だ。
接客業において1年で1番の繁忙日とされる大晦日に自分のメンタルケアのための面談が開催されるのは恥ずかしいったらありゃしなかった。

「そんなに人を変えれるほど、自分は偉くないでしょ?相手に期待しすぎだよ」

そんな言葉をかけられて、自分の中で人を変えたいという欲があることに気がついた。
実は自分は人を変えれるほど偉くないなんて思っていなくて、「自分の力で人を変えれてきた」と思っていた。
きっとあながち間違ってない。そんなこともあった気がするけど、言われてみるとないかもしれない。
変わるきっかけは与えられたのかもしれないけど、変わってくれたのは当人たちの力だ。
なんだかそこを忘れて驕り高ぶっていたように思えた。

「たまにムカつくときあるもん。出来もしないのに拾いあげようと、助けようとしてあたふたしてるの見て」とも言われた。

「間に挟まれてるというか、自分から間に挟まれに行ってるんだよ」

いつもの自分が聞いたら「冷たいな」と思いそうなものでも、そのときの自分には間違いなく1番必要な言葉が次々と飛び出てきた。

おかげさまで1日の正月休みを挟んで、自分自身の心はリセット出来た。

彼との距離感はそのまんまだ。
年末よりはほんの少しだけマシだけど。

さぁ彼はどうするのだろう。このまま自分から逃げ続けてしまうのだろうか。