「大人になったな、って感覚あります?」
「老いて来たなって感覚はあるけど、大人になった、って感覚ないですよね」
老いはあるけど、大人という感覚はない。
なるほどな、たしかにそういうものかも知れない。
昨日のくるりのライブは久々のライブハウスツアー初日
事前情報もないので何をやるのか分からなかったが、蓋を開けてみれば自分が中学、高校の頃にリアルタイムで発売されて聴いていた曲がとても多かった。
当時のライブには行けてないので、思い出の曲たちが目の前で演奏されまくるのが、普通にめちゃくちゃ嬉しかった。
10曲目が終わったところで、岸田繁が
「たとえばくるりいいよね!ライブ行こ!くらいの感じで来て、今このライブ観たら、おそらく知ってる曲1曲くらいちゃうかな」と言っていた。
自分は当時、くるりなんて周りで誰も聴いてない。有名なわけがない。という感覚だった。
実際クラスメイトに「くるりってバンド、すごくいいんだよ」とおススメしていたが、誰も知らなかった。
インターネットもほとんど使ってなかったので、世間とくるりを共有が出来ていない。
そのため当時聴いていた新譜はどれが有名な曲で、どれがコア曲なのかが気づくこともなく、
どれが好きかという自分の基準でしかなかった。
この日、聴いてた曲たちはコアな認識がないまま聴いていた。
自分の当時リアルタイムで聴いていたものが、
過去のコア曲のような扱いされて演奏されていることに、大人になったなぁと感じそうになったが、それは『老い』を感じているという表現の方が正しいのだろうと思った。
一緒に行った友達にくるりを勧めたのは自分だったのだが、そこから10年以上経ってからやっと観せることが出来た。
「ブレーメンはさすがに感慨深かったわ。お前に初めてもらったCD-Rに入ってた曲だから」
彼に各バンド1曲か、2曲ずつ入っているCD-Rを作って渡していたはずで、おそらくそのことを言うているのだろうと思った。
大人になっていくという感覚は未だに自分にもない。
でもそのくらいでいいのだろうとも思った。
常識はどうにか身につけつつ、大人にはならない。
そして老いていく。
ノスタルジーを感じまくるのは老い。
これまでの歴史を感じで楽しいことも多い。
老いは楽しんでいこうと思った。
この日も結局2人ともが1番楽しんでいたのは
しゃぼんがぼんぼん→青い空の激しめの曲の流れだった。
まだ僕らは分かりやすくハイテンポのものがとにかく好きなままだった。