中敷きがズレてくような日々

煩悩、戯言の半径30cm

化膿 on the finger


左足親指を骨折してから1年ほど経っているが爪の再生は完全ではない。

ときに足が膿んでしまって、腫れ上がってしまうことが増えた。
元々の巻き爪が大きな原因で、靴もワンサイズ大きいものを履いてるつもりだが、どうしても膿んでしまう。

怖くなって2回ほど近所の整形外科に受診したが、レントゲン撮って、時間経てば治りますよ。化膿止め出せますよ、で終わり。
実際症状もほんとにそれで終わりなのだが、どこか金にせこくなってしまい、化膿止めすらもらわなかった。出費を増やしたくなかった。

今回の膿はなかなか痛かった。
関係はないが、右唇に口内炎があったのも心が弱っていた。口内炎にも半月に1回くらい苦しんでいる。
口内炎が引いてきたかと思えば、左足の親指に痛みが出てきて、対角線上に痛みがダイアゴナルランしていた。

そんなこんなで休みを利用して、病院に行くことに。

今回こそは化膿止めだけいただこうと思ったが、いつもの場所が休診。
水曜日でどこも休診が多く、行ったことのない整形外科に。

場所も分かりにくく、どこか一軒家のような雰囲気で怖かったが中に。

誰1人待っていないその様子に怯えながらも後に引けない。

招かれれば見事におじいさん先生
伝えたいことを持っていって伝えようとするが、お医者さんには何とも緊張してしまう。
伝えていても、はいはいはい、の空気に耐えられなく声が小さくなってしまう。

気がついたら最短速度で爪を切っていく手術の話で収まっていた。

え、手術すんの?

ただ化膿止めをもらいにきただけのはずなのに。

バタバタと看護師さんたちが麻酔の準備を始めた。
そうか麻酔もすんのか。そりゃそうか。

大ごとに頭が追いついて行かなくなってきた。

あっという間に寝転んでいて、あっという間に麻酔を刺される。

心の準備が全くできておらず、気分は改造人間。仮面ライダーが出来るときの最初のところ。藤岡弘が慌ててる顔をしたくなる。

案の定、麻酔もやたら力を入れてきて、思わず痛い痛い痛い痛いと連呼。

「あー痛がってる痛がってる」という看護師さんと
「代々木公園の近くに大きめのサイズの靴屋さんがあるよ」という話を推し進めてくる院長。
気を紛らわすつもりなのだろうが、正直それどころじゃない。

麻酔が効くまで待たされる間、親指を見ると注射の痕。

うわ、ほんまに刺されてるやん。

どんどん失ってくる感覚を信じたくなくて、指は力んでいたが、自然と力が抜けてくる足に怖さを覚える。

そこから何かをされている感覚はあり、もう見るのをやめた。
ひたすらに目をつぶっていた。

「傷跡見るか?」という院長の声がけに「いや絶対見ないです」と食い気味に返した。

「あら早い」と看護師のおばさまたちがわちゃわちゃしているのがまた怖かった。

「そうか、現実から目を背けるか」と言う院長。

背けるもなにもないやろ、そういうことじゃなくない?となる俺。

包帯を巻かれているあいだに
「今日のお昼は鰻を用意しといて」と院長の鶴の一声。盛り上がる看護師。

やばいとこにきてしまったなと絶望する自分。

今からライブに行くのだが、包帯なんて巻かれて大丈夫なのかと思っていた。

次は土曜日にという話だったが、もうここには行きたくなかった。

「あ、これお風呂とかは入っちゃダメなんですか?」とこちらが聞いたら当たり前にダメだよみたいな反応をされてしまう。
これは自分の常識がないところもあるのか、と思いつつも、そのくらいは言うてくれよとも思った。

いつ取っていいんですか?と聞けば、
次の土曜日まではタッチしないでくれと。

あ、これはもう一度来るしかないのかと察した。

お会計のときに5300円です。と言われた。

手持ちが4000円しかなかった。

痛み止めなども処方されていたので、2000円しか渡せず。

なんだかとても情けなかった。

今月は貯金がうまくいっていたと思っていたが、崩れ去った。

金さえ普通にあれば、こんな惨めな思いもしなくて、クソー!で終わるのにな。


靴も履けないのでライブにはサンダルで向かった。
さすがにクロマニヨンズ×ザ50回転ズというロックンロールバンド対バンのライブハウスにサンダルで来てる人は見つからなかった。

でもやっぱクロマニヨンズはすごい。
「今日は最高 今日は最高の気分だー!!」と歌ってくれちゃえば、どんなに気持ちが落ちても「うん、最高だよな」って思える。

50回転ズではスクリュードライバーを飲みつつ、酔っ払って、サンダルでも踊ってた。

ロックンロールはいいなぁ。最高だな。

なんだかんだ気分次第 自由になら一秒でなれちゃうよな。