よかれと思って、優しさ
今日、電話で在庫確認をされた。
「すみません。探しているCDがあるんですけども。」
後ろのザワザワ感、なんだか仕事の話をしてるようでそうでもない。少しラフでも家庭にはない緊張感がある。その中で妙なビジネス口調な喋り。
「はい、でも商品情報お願いします〜」
僕は硬い喋り方が1つも出来ないので、ラフな感じで話す。そこにも温度差がない。
なんとなくADだな?と思った。
自分が働いていたときの空気感を思い出した。
坂本冬美をほとんど知らないがなんとなく、曲名なのかな?と思った。
ただウチの在庫確認のシステムでは曲名で調べることは出来ない。
アーティスト、タイトルしか検索欄にはない。
「あ、それは曲名ですかね?」
「そうです。」
何食わぬ口調でそう言った。
1つだけあった坂本冬美のアルバムのタイトルでGoogle検索をして、曲名を確かめたが、夜桜お七は入っていなかった。
「あぁ、在庫ありませんねぇ」と言うと
「わかりました。ありがとうございました。失礼します。」と丁寧な言葉で電話を切られた。
ADの大変な仕事に少し理解のある自分だから妙なところに気づいたり、丁寧に対応をしたが、他の人がこの電話に出たら、曲名まで調べることはなかったと思う。いわば少しの優しさが働いた。
ただこの人はCDを探すのに、曲名を言うことを自分の中でルーティンとしてしまっているため、このまま見つかりにくい検索方法で探してしまうだろう。
僕が仮に「タイトルですか?曲名ですか?」「曲名だけでは調べられないんですよ」と言っておいた方が調べるにあたっては、そっちの方がこの子にとっては助かったのではないか?と思った。
なんとなくADと気づいていたのならば、そう言ってあげてもよかったかもしれないな。
気をつかってやる優しさは人より出来るのに、少し冷たくすることによっての優しさを出すが下手くそなんだよな。と思った。